インタビュー 医師/和田 祥之 医療と生活を繋ぐ。
生活まで考慮した優しい医療を。
私の家は父母共に曽祖父の代から続く医師の家系でした。
父は地元大阪で小さな内科医院を50年営み、83歳で引退する際には「先生のおかげで助かった」という地元住民のお礼の手紙と共に、居間がお礼の品で山積みになる様を目の当たりにし、「医療はこんなにも感謝されるいい仕事だ」と今でも父のような医師になれたらと思っております。
大学医学部では消化器外科を専攻し、医局へ入局後は病理学の研究に打ち込みました。
病理の組織診断はAI診断が進歩した現在でもなお病気の確実な診断に最も重要な手段とされております。
例えば、病理解剖では亡くなった方の組織を観察することで診断の妥当性や治療の効果の答えが出ます。
こうした研究とその結果の積み重ねが、複雑な診断に大いに役立っております。
その後、50歳から20年間は国会の参議院の議員医務室に勤め、多くの議員の治療や健康相談に関わりました。
議員といえど一般の方と同じです。
症状により病院を紹介しますが、医師の前ではうまく話すことができません。
そこで私は一緒に病院まで付いていき症状の説明をすると共に、医師からの指摘事項を後ほど分かりやすく説明しておりました。
このような経験から家庭の事情や生活を把握した上で医療を提供することがとても大切なことで、何より患者さんに信用していただくことも診療の一部だということを学びました。
静風荘病院へ来たのは7年程前になりますが、誘っていただいた野中泰延君は大学時代からの親友で家族ぐるみの付き合いをしておりました。
「忠恕」という言葉は彼の信念と想いが込められた素晴らしい言葉だと思います。
これからも患者さんの立場になり相手にとって優しい医療を提供できればと思います。